盛土とは?新築におけるリスクと対策を解説
盛土の上で家を建てることを検討されているみなさんにとって不安はありませんか。
地盤の安全性は、快適な生活を送る上で最も重要な要素の一つです。
特に盛土は、自然の地盤とは異なる性質を持つため、十分な知識と対策が必要です。
今回は、盛土と切土の違いから、新築におけるリスクと対策、そして安心な家づくりを進めるためのステップを具体的にご紹介します。
盛土とは、傾斜地や低地など、元の地盤の高さを調整するために、新たに土砂を盛る造成方法です。
平らな土地を作るだけでなく、高低差をつける、勾配を変えるなど、土地の形状を変える目的でも行われます。
盛土に使われる材料は、山砂、再生コンクリート砂などが一般的ですが、中には不純物が混入している場合もあり、その品質は大きく異なります。
品質の良い盛土は、締固めがしっかり行われ、安定した地盤となりますが、品質の悪い盛土は、地盤沈下などのリスクを高めます。
切土は、盛土とは逆に、元の地盤を削り取って平らな土地を作る造成方法です。
盛土と比較すると、元の地盤をそのまま利用するため、地盤の強度が高い傾向があります。
ただし、切土によって新たに斜面(法面)が形成されるため、法面崩壊などのリスクを考慮する必要があります。
盛土のメリットは、低地や傾斜地を宅地として利用できること、眺望の良い立地を選べること、水害リスクを軽減できることなどがあります。
一方で、デメリットは、地盤沈下のリスクが高いこと、地盤改良費用が必要となる可能性があること、地震に対する脆弱性が高いことなどです。
切土のメリットは、地盤強度が高いこと、地盤沈下のリスクが低いことなどがあります。
デメリットは、法面崩壊のリスクがあること、造成費用が高額になる可能性があること、眺望が制限される可能性があることなどです。
盛土地盤における最大のリスクは、地盤沈下です。
これは、盛土された土が圧密(土の中の水分が抜けて体積が減少する現象)によって沈下することで起こります。
特に、品質の悪い盛土や、十分な締固めが行われていない盛土では、このリスクが非常に高くなります。
また、盛土は地震の揺れに対して脆弱なため、地震による被害も懸念されます。
さらに、盛土と元の地盤の境目では地盤の硬さが異なるため、不同沈下(建物の基礎が均一に沈下せず、傾く現象)が起こる可能性もあります。
盛土の上に建物を建てる際には、必ず地盤調査を行うことが不可欠です。
地盤調査によって、地盤の強度、液状化の可能性、不同沈下のリスクなどを把握し、適切な対策を講じることができます。
代表的な地盤調査方法としては、スウェーデン式サウンディング試験、ボーリング調査などがあります。
これらの調査結果に基づき、必要に応じて地盤改良工事を行う必要があります。
地盤改良工事は、地盤の強度を高めるための工事です。
盛土の場合、地盤の強度が低いことが多いため、地盤改良工事が必要となるケースが一般的です。
地盤改良工事には、表層改良、柱状改良、深層混合処理など、様々な種類があり、地盤の状態や建物の規模に合わせて最適な工法を選択する必要があります。
不同沈下を防ぐためには、地盤の均一性を高めることが重要です。
そのため、地盤改良工事を行うだけでなく、建物の基礎の設計にも工夫が必要です。
例えば、基礎の形状を工夫したり、地盤の支持力を高めるための基礎杭を打設したりすることで、不同沈下を抑制することができます。
盛土や切土によって造成された土地には、斜面を支えるための擁壁が設置されていることが多いです。
擁壁の劣化や損傷は、土砂崩れなどのリスクを高めるため、定期的な点検が必要です。
必要に応じて、補強工事を行うことも検討しましょう。
擁壁の点検は、専門業者に依頼することが望ましいです。
盛土の上で家を建てる場合は、特に土地選びが重要です。
造成計画図を確認し、盛土の状況、地盤の強度、擁壁の状態などを確認しましょう。
また、ハザードマップを確認し、土砂災害や液状化などのリスクがないかを確認することも重要です。
建築会社を選ぶ際には、地盤に関する専門知識と経験が豊富な会社を選ぶことが重要です。
地盤調査から地盤改良工事、擁壁の補強工事まで、一貫して対応できる会社を選ぶことで、安心な家づくりを進めることができます。
見積もりを比較検討することも大切です。
契約前に、地盤調査の結果、地盤改良工事の内容、擁壁の状況、瑕疵担保責任の内容などを、しっかりと確認しましょう。
不明な点があれば、建築会社に質問し、納得した上で契約を締結することが重要です。
新築後も、定期的に建物の点検を行い、不具合がないかを確認することが大切です。
特に、盛土の上で建てられた建物は、地盤沈下などのリスクがあるため、定期的な点検がより重要となります。
点検は、専門業者に依頼することも検討しましょう。
盛土の上で家を建てることは、地盤沈下や不同沈下などのリスクを伴いますが、適切な対策を講じることで、安全に暮らすことができます。
そのためには、土地選び、建築会社選び、契約前の確認事項、建築後の定期点検など、各段階で注意深く進めることが重要です。
専門家である地盤調査会社や建築会社と連携し、綿密な計画に基づいて家づくりを進めることで、安心して暮らせる住まいを実現できます。
地盤調査は必ず行い、その結果を踏まえた適切な地盤改良工事を施すことが、安全な家づくりの第一歩です。
擁壁の状況も確認し、必要であれば補強工事を検討しましょう。
そして、建築後も定期的な点検を怠らず、万が一の問題にも迅速に対応することで、長く安心して暮らせる住まいを手に入れましょう。