北向きの玄関は、日当たりの悪さや寒さ、湿気といった、日々の暮らしに影響を与える可能性のある特性を持っています。
家づくりや住み替えを検討する際に、その選択が将来的な後悔に繋がらないか、漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、玄関の向きだけで住まいの快適さがすべて決まるわけではありません。
適切な知識と工夫によって、北向き玄関のデメリットは十分に解消し、むしろその特性を活かした心地よい住まいを実現することも可能です。
今回は、北向き玄関で後悔する具体的な理由とその対策について、詳しく解説していきます。

北向き玄関で後悔する具体的な理由
日当たりが悪く玄関周りが暗くなる
北向きに玄関を配置すると、太陽の光が直接玄関ホールに差し込みにくいため、日中でも薄暗さを感じることが多くなります。
特に、日照時間が短い冬場や、天候が優れない日には、玄関周りは一層暗くなり、日中の活動時間帯であっても照明が必要になる場面が頻繁に訪れるでしょう。
この薄暗さは、朝の忙しい時間帯に靴を選びにくかったり、荷物の出し入れをする際に手元が暗くて不便を感じたりするだけでなく、空間全体の印象を重くし、心理的な影響を与える可能性も指摘されています。
玄関は家の「顔」とも言える場所であり、常に薄暗い状態が続くと、住む人の気分まで沈みがちになり、後々、玄関の向きについて後悔する原因となりかねません。
寒さや湿気がこもりやすくカビが発生しやすい
北向きの玄関は、日照による自然な暖かさを得にくいため、外気温の影響を受けやすく、特に冬場は冷え込みやすい傾向があります。
ドアを開閉するたびに冷たい空気が室内に入り込み、玄関ホール全体の温度が下がりやすいため、暖房器具を効率的に使用できない、あるいは常に寒さを感じてしまうといった状況に陥ることも少なくありません。
さらに、日当たりの悪さは湿気の滞留にも繋がりやすく、結露が発生しやすいため、靴箱や壁の隅にカビが発生するリスクが高まります。
カビは見た目の問題だけでなく、アレルギーや健康被害の原因となることもあり、衛生的な観点からも大きな懸念材料となり、住み始めてから後悔するポイントとなり得ます。
風水的に良くないととされる場合がある
古くから、玄関は運気の入り口として非常に重要な場所と考えられてきました。
風水の観点から見ると、北向きの玄関は「陰」の気が強まりやすく、健康運や金運、家族関係に影響を与える可能性があるとされています。
具体的には、北は「陰」のエネルギーが最も強い方角であり、そこに玄関があると、気の流れが滞りやすく、家庭内に停滞感や冷え込みをもたらすと考えられているのです。
もちろん、風水はあくまで一つの考え方であり、住宅全体の間取りやインテリア、住む人の意識によって運気の流れは大きく変わるものですが、風水を気にする方にとっては、北向き玄関というだけで心理的な抵抗を感じ、後々気になってしまう要因となることがあります。

北向き玄関のデメリットを解消し快適にする方法
採光や照明で玄関の暗さを解消する
北向き玄関の最も大きな課題である「暗さ」は、工夫次第で十分に解消することが可能です。
まず、自然光を取り込むために、玄関ドア自体を採光性の高いガラス素材のものにしたり、ドアの上部や側面に明り取り窓を設けたりすることを検討しましょう。
また、玄関ホールに窓を設置することも有効ですが、それが難しい場合は、天井や壁に設置する照明計画を工夫することが重要です。
明るさの異なる複数の照明器具を組み合わせたり、センサー付きのフットライトを設置したりすることで、夜間だけでなく日中でも明るく、かつ温かみのある空間を演出することができます。
色温度の高いLED照明を選べば、より自然な明るさに近づけることも可能です。
断熱や換気で寒さ湿気カビを防ぐ
玄関の寒さ対策としては、まず断熱性能の高い玄関ドアを選ぶことが効果的です。
ドア本体の断熱材はもちろん、ドア枠や下部の隙間風を防ぐシーリング材なども含めて、気密性の高い製品を選びましょう。
さらに、玄関ホールの床や壁に断熱材をしっかりと施工することも、外気温の影響を和らげる上で重要です。
湿気やカビの対策としては、定期的な換気が不可欠です。
換気機能付きの玄関ドアや、壁面に換気窓を設ける、あるいは小型の換気扇を設置するなどの方法が考えられます。
さらに、玄関ホールの広さに応じた除湿器を置いたり、数日に一度ドアを開放して空気を入れ替えたりするだけでも、湿気のこもりやカビの発生を効果的に予防することができます。
間取りや風水でデメリットをカバーしメリットを活かす
北向き玄関のデメリットは、間取りの工夫や風水の考え方を取り入れることで、さらにカバーすることが可能です。
例えば、玄関ホールを広めに設計し、十分な照明を確保することで、暗さを感じさせない空間を作り出すことができます。
また、玄関から隣接する部屋への動線を工夫し、採光を効果的に取り込めるような間取りにすることも有効です。
風水においては、北向き玄関の持つ「静寂」や「落ち着き」といった性質を「陰」のエネルギーと捉え、それを活かすインテリアを取り入れることが推奨されます。
例えば、玄関ホールには明るい色合いの壁紙やラグを使用し、観葉植物を置いたり、消臭効果のあるアロマを焚いたりすることで、気の流れを整え、心地よい空間を作り出すことができます。
鏡を効果的に配置することも、空間を広く見せ、運気を呼び込むとされています。

まとめ
北向き玄関の家は、日当たりの悪さによる暗さや、寒さ・湿気がこもりやすいといったデメリットが懸念されがちです。
また、風水の観点から気になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これらの課題は、採光や照明の工夫、断熱性能の高いドアの選択や効果的な換気システムの導入、そして住空間全体の設計やインテリアの配置といった対策を丁寧に行うことで、十分に解消することが可能です。
北向き玄関の特性を理解し、デメリットをメリットへと転換させるような工夫を凝らすことで、日々の暮らしを豊かにする、快適で心地よい住まいを実現することができるのです。